株式会社アミタ持続可能経済研究所

[地元だから]第2回: みどりの風が吹く疎開のまち・智頭町

[地元だから]第2回: みどりの風が吹く疎開のまち・智頭町

みどりの風が吹く疎開のまち・智頭町

 「まずは明日の祭りから手伝ってもらわにゃいけんな!」と温かいなまりと笑顔。 それを口火に「あっちの地区のお祭りにも参加したらいい」「食に興味がある?ならあの集落にいっとかんと」と、地元の"おやじ"パワーが会議全体を包みます。 そのパワーを初めて体験した若者達のまなざしは、多少圧倒されながらも、期待に満ちていました。

 鳥取県の山間に位置する人口8千人の小さな町に、今年も「外の風」が吹き抜けます。


みどりの風が吹く疎開のまち・智頭町

 鳥取砂丘を育んだ千代川の源流に位置し、周囲を中国山脈の山々で囲まれた鳥取県智頭町。 総面積の約93%を山林が占め、吉野・北山に並び"杉のまち"として有名です。 さらに、江戸時代には県内最大の宿場町として栄え、往時を偲ばせる情緒豊かな町並みが今でも残っています。

 「みどりの風が吹く疎開のまち」が、この町のキャッチフレーズです。 「疎開」というインパクトの強い言葉から、都会のストレス社会から抜け出せる町を目指すストレートな意気込みを感じます。 また、同町を少々知る私としては「みどりの風」を「町を元気にしようという内外の風」と解釈しています。 住民が主体となってまちづくりを進める「内の風」と、積極的に取り入れた「外の風」がこの町には共存しているのです。


外の風を活かす

 農水省の「H23食と地域の交流促進対策交付金」を活用し、今年も「外の風」を取入れることになりました。 冒頭に紹介したのはこの事業のキックオフ会議での一幕です。

 香庄君(大阪府出身)、竹田さん(兵庫県出身)、渡邊さん(東京都出身)の3名が、6ヶ月間、地区の方々と生活を共にします。 彼らは、閉校後の小学校の活用方法を検討したり、地元の食事処「清流の里」や「みたき園」で新メニューやお土産品を開発したりと様々な活動に取組む予定です。

閉校予定の山郷小学校 食事処 清流の里 食事処 みたき園

 「智頭町は外部から来た人の活動が元気をくれることが多い」とおっしゃるのは、智頭町役場企画課・岡田課長補佐。 「自分たちも刺激になる」「片道切符のつもりでやってくれ(笑)」など、受入地区の方々も強い期待を寄せています。 本事業がよい成果を生み、その成果がまた別の地域へ広がっていくことを、この事業をサポートする私たちは願っています。

 智頭町における外の風を活かした取組みはこれだけではありません。 森そのものを学び舎とした「森のようちえん」や、林地残材や間伐材を1トン当たり6,000円の地域通貨(※半額を行政が補助)で買い取る制度など、 外部の人のアイデアがヒントになった好例がたくさんあります。 最近では、森林セラピーソサエティが認定する「森林セラピー基地」を7月30日・31日にグランドオープンしました。 1ヶ月半で2,000人を超える人が予約・体験するという人気ぶりです。そしてこの活動は地元ガイド(既に約50人が登録)が支えています。


住民自治への変革

 「外の風」を活かすためには、住民が主体となってまちづくりをする「内の風」が不可欠です。 住民の主体的な活動を進めるために、「日本1/0村おこし運動」というものが平成9年から続いています。 「自分は何ができるか、住民一人ひとりが無(ゼロ)から有(イチ)への一歩を踏み出そう」という運動です。 また、「智頭町百人委員会」は、住民自らが政策を行政に提案していく組織で、智頭町ならではの住民自治の形だと思います。

 私は、このまちの人たちが仕事帰りに公民館に集まり、2・3時間、食事も(大好きなお酒も!)取らずに町づくりについて議論を続ける姿を、何度も目にしました。 60歳をすぎてなお若者に負けないバイタリティに驚かされます。

 このような強い当事者意識と外からの新たな視点がうまく組み合わさることで、様々な可能性が広がります。 内と外の交流は、これからますます活発化していくでしょう。 私たちは「外の風」を送り込む役割として、「内の風」に負けないよう(笑)、これからも精一杯サポートを続けたいと思っています。


 智頭町HP
 http://www1.town.chizu.tottori.jp/別ウィンドウが開きます


(角新 支朗)

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