株式会社アミタ持続可能経済研究所

[地元だから]第3回: 日本一小さな百貨店の物語・常吉村営百貨店

[地元だから]第3回: 日本一小さな百貨店の物語・常吉村営百貨店

常吉村営百貨店 おばあちゃん

 「間引き菜ようけあるんでおいてぇな。」

 「おばあ、ええで。なんぼにしょうか?」
 「なんぼでもえぇて。うちではよう食べ切れんしなぁ。」

 天気がよければ、おばあちゃんが手押し車を押して、畑から採れたての泥つき野菜を百貨店に持ってきてくれます。


 「お兄ちゃん、持って帰って食べてぇよ」

 新聞紙にくるんで半ば強引に頂くこともしばしば。野菜を売ってお金にするよりも、せっかく育てた野菜を誰かに食べてもらうことへの喜び。 そんな幸せの循環が「常吉村営百貨店」の日常にあります。





 京都府北部、丹後半島中心部に位置する常吉(つねよし)集落。 そこに地域住民出資によるユニークな運営で全国から注目を集める「常吉村営百貨店」があります。 田舎の小さなお店ですが、地域の住民にとっては生きていくために必要なものが何でも揃う、まさに百貨店なのです。 食料品や日用品はもちろんのこと、店にないものでも頼まれれば、仏壇の電球からネコの餌まで調達し、無料で配達もします。 コストを考えれば見合わないかもしれませんが、百貨店が地域の支えになり、地域が百貨店を支えているのです。

常吉村営百貨店 外観 常吉村営百貨店 内観



 買い物をするだけが百貨店の機能ではありません。 地域の人が集う憩いの場でもあり、育てた農作物を委託販売できる場でもあり、売れたらお金も稼ぐことができる場でもあるのです。 買い物をする楽しみ、誰かとおしゃべりする楽しみ、作った物を売る楽しみ、お金を稼ぐ楽しみ、そしてそのお金でまた買い物をする。 そんな小さな循環経済モデルを実現しているのが「常吉村営百貨店」なのです。



常吉村営百貨店 野菜 常吉村営百貨店 大木社長

 しかし、500人程度の小さな集落内だけの消費ではお店を続けていくことは困難です。 そこで地域の農産物を外の人に売ることで少しだけ"外貨"を稼ぎ、"内貨"で足りない分を補ってやってきました。 97年の開業からずっと百貨店を支えてきた大木社長はこう言います。
 「村の人の生活を支えるのが百貨店の役目。農産物も売るが、百貨店は道の駅とは違う。 加工品をやれば儲かるかもしれんが、自分らは背伸びせんと、身の丈にあった商売をやるだけ。」


 そして、今日もまたおばあが来て、野菜を置いて、おしゃべりをして、長い時間をかけて買い物をして、百貨店の日常がゆっくり流れていきます。

常吉村営百貨店 子供 常吉村営百貨店 野菜2



 百貨店のみんなが集う憩いのコーナー。その片隅に「アミタ持続可能経済研究所」京丹後オフィスがあります。 オフィスといっても、プリンターと一人が座るスペースがあるだけ。 2009年、農水省「田舎で働き隊!」研修生として常吉村営百貨店に入り、働き隊が終わってからも、家族と共に常吉に住みながら、 ここ常吉百貨店オフィスを拠点に地域に関わる仕事に取り組んでいます。 「地域に住まないで地域の仕事をするなんてありえない!」 百貨店の日常は私の日常でもあるのです。


 15年目を迎えた「常吉村営百貨店」では、1ヶ月単位で常吉に住みながら、常吉百貨店の経営を学ぶ研修プログラムを企画しています。 ご興味のある方は、pure@tsuneyoshi.e-mura.jpまでお問い合わせください。

常吉村営百貨店 おばあちゃん2


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(東田 一馬)

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