株式会社アミタ持続可能経済研究所

[地元だから]第4回: 甲賀忍者が挑む、お茶摘み体験ツアー

[地元だから]第4回: 甲賀忍者が挑む、お茶摘み体験ツアー

 2008年に開通した新名神高速道路・甲賀土山ICから約5分、滋賀県甲賀市の東部に大澤という集落があります。

 甲賀といえば忍者の里として知られていますが、一説によると忍者といっても農業のかたわらで忍者業を営む「兼業農家」だったとか。 衣服や手裏剣などの道具は農具を流用したものが多く、日々の農作業の合間を縫って忍術の修行に励んだとも言われています。

 現在でもお米やお茶の産地として有名な甲賀市ですが、年々生産者が減少しており20年前に比べると大澤の茶農家は5分の2に減ってしまいました。 こうした農業の担い手不足や農地の荒廃などの課題を解決するため、甲賀市は平成21年から都市農村交流事業を行っています。



 まだ寒い今年1月、有志が集まり5月に実施されるお茶摘みツアー(主催:農協観光)の企画会議が始まりました。 話し合いの中でもっとも盛り上がったのが、昼食の献立づくり。

 「五月頃なら、山菜がぎりぎりいけるかなぁ。」
 「よもぎもたくさん摘めるし、どうやろう?」
 「お茶の新芽の天ぷらとかいけるんちゃうかな?」

 大澤の皆さんからの提案で、タケノコの木の芽和えやわらびの煮物といった地域の食材をふんだんに盛り込んだアイデア弁当が誕生しました。


 「お茶摘みをしてもらうだけでなく、地域の自然や食材、住民との交流を楽しんでもらいたい」と話すのは、大澤に住む藤本泰治さん。 こうした話し合いの積み重ねが、大澤の価値や魅力を再発見する機会につながりました。




 そして5月。木々から爽やかな風が吹き抜ける新緑の季節に、大阪から30名の参加者がやってきました。 参加者に忍者の衣装を貸し出したところ大好評。忍者の衣装を身にまとい、いざお茶摘み体験へ。 茶農家の藤本昭和さんの指導のもと、参加者は慣れない手付きで茶摘みを始めました。 大澤の皆さんと参加者の皆さんが交互に並び、茶畑が一気に活気づきます。

 このツアーでは茶摘み体験だけでなくよもぎ摘みや餅つき、おいしいお茶のいれ方講座などが行われ、 さらに摘んだ茶葉を製茶にして持って帰れるお土産付き。 参加者の皆さんが帰るまでになんとか乾燥・加工を行い、できたての茶葉を持って帰っていただきました。




 「地域の方が一体となって私達をもてなしてくださり嬉しかった。」 「普段体験できないようなことができた。様々な年代の方とふれあうことができてよかった。」 といった感想が参加者から寄せられました。 また、みんなでアイデアを出し合ったお弁当もたいへん好評でした。

 大澤の皆さんも、初めての試みで戸惑いながらも、 「やってよかった。反省する点もあったけれど、次につなげていきたい。」 「受け入れる時の楽しい雰囲気を、たくさんの人たちと作っていければ。」と話してくれました。



 地域に賑わいを取り戻すことが都市農村交流の目的ですが、すぐに結果があらわれるものではありません。 継続して取り組み、小さな成果を積み重ねることで少しずつ賑わいが生まれ、子や孫の世代が「住んでいた場所」を再評価するきっかけにつながります。


 大澤の挑戦はまだ始まったばかり。来年の5月には第二回のお茶摘みツアーを企画しています。 少しでも多くの人が大澤を訪れ、その魅力を感じてくれることを地域の皆さんとともに私は願っています。


大澤自治区ブログ
 http://geocities.yahoo.co.jp/gl/gokenji1947/別ウィンドウが開きます


(三木 理恵子)

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