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持続研通信 №75 櫻号


パラオ国より
美しい海と島々の風景


こんにちは。
アミタ持続研の長谷川です。
桜の満開と共に入学式や入社式を向かえる季節ですね。
持続研もひき続き各地でのプロジェクト進捗や現場で活躍するスタッフの声をお届けして参ります。
さて、今回の持続研通信・櫻号は、パラオと加美町のプロジェクトの進捗報告を中心にお届けします。
どうぞご一読ください。



 【パラオ】平成28年度 環境省事業が終了


2016年7月より実施してきた環境省「平成28年度我が国循環産業海外展開事業化促進業務 パラオ共和国における包括的有機資源循環システム構築事業」が3月末で終了となりました。
2014年度より継続して進めてきたバイオガス事業の区切りとして、関係者に対しこれまでの成果報告と達成状況、そして事業開始に向けた今後のスケジュールについて報告し、意見交換を行いました。
環境省事業は一旦終了となりますが、パラオでの同事業は継続実施する計画です。
海外での包括的資源循環モデル構築も佳境を迎えます。
今後とも本プロジェクトの進捗を継続してご報告いたします。



 【加美町】平成28年度の液肥散布実証の報告会をしました


昨年度、宮城県の加美町で実施しましたメタン発酵消化液(液肥)散布実証試験の報告会を3月に開催いたしました。
JA関係者や農家の皆さまにご参加いただきました。
昨年度はネギ、飼料米、大豆へ液肥を散布し、慣行栽培と遜色ない収量結果を確認できました。
バイオガス事業を継続させるためには、液肥を利用して下さる農家の皆様の協力が不可欠となります。
加美町で循環型農業を構築するためにも、液肥普及活動は継続して取組んで参ります。



 南三陸】BIO動画完成 いのちめぐる ~南三陸BIOのこと~



南三陸BIOの取組をご紹介する動画が完成いたしました。
数分で南三陸BIO誕生の経緯や事業の内容がよくわかる動画になっています。
こちらの画面をクリックし、臨場感あふれる映像でご覧下さい。


 アミタグループからのお知らせ


会長・熊野のそっ啄同時
連載第2回は、人間の尊厳を守るために構築された国民国家である近代システムがなぜ崩壊し、誤作動を起こすのかについてお伝えします。ぜひご一読ください。ご感想もお待ちしております。
▼第2回「近代の誤作動-② 近代から現代」
▼アミタ(株)代表の佐藤が「北九州市環境産業推進会議」第8回総会にて講演
▼各テーマの専門家と共創する、企業向け『SDGs戦略研究会』(全16回)を開催



 「エネルギー作物への挑戦 ~バイオガス事業の更なる価値創出を目指して~」


アミタグループでは社会のニーズにあったバイオガス事業の開発と展開を進めています。
従前のバイオガスプラントの普及に加え、これまで国内ではバイオガス原料として利用されてこなかったエネルギー作物を原料とすることで、積極的なエネルギー創出を目指す新たなバイオガス事業の可能性も探っています。
欧州では広大な土地の利を活かして、大規模にエネルギー作物の栽培を行い、これらを原料としたバイオガス施設の運用が一般的となっています。
日本でも未活用の土地等を利用して栽培したエネルギー作物をバイオガス原料として利用するための技術的な検討が必要な時期に来ていると感じます。
ただ、欧州式のエネルギー作物のバイオガス利用を、そのまま日本で導入しようとすると様々な課題に直面します。
例えば「前処理」の課題。エネルギー作物の多くはイネ科植物で、稲わらと同様に繊維質が多いため、バイオガス施設で分解する際には葉を細かく破砕するなどの「前処理」の設備と行程が不可欠です。
ところが、前処理設備は原料の目詰まりなどのトラブルが発生しやすく、リカバリー作業が頻繁に発生します。

欧州のバイオガスプラントは個人事業主(牧場経営者等)が運営するケースが多いので、前処理設備でトラブルが発生しても、設備を一時停止してリカバリー作業をすることに大きな問題はありません。
原料生産から受入れ、加工処理の主体が一貫体制となっているからです。
しかし日本のバイオガスプラントは公共施設としての運用が多いため、プラントの一部施設が一時的にでもストップすると、原料受入れ体制への影響が多大なリスクとなる可能性があるのです。
各工程の主体が分業化しているゆえの宿命的なリスクとも言えます。
また、「規模面」での課題もあります。エネルギー作物の収穫にはそれに見合った強大な農機具が効率的です。
欧米のトラクター等の農機具のサイズは日本の平均的な農家の農機具に比べると「10トンダンプと軽トラ」並みの格差があります。
また、日本の平均的な農家のインフラで対応できるサイズのエネルギー作物(通常のソルガムやデントコーン等)を栽培すると、今度は土地面積当たりのエネルギー生産効率を欧米並みには確保できないという障壁にぶつかります。
これまでの調査研究でエネルギー作物の生産量とガス発生量の関係はおおよそわかってきました。
今後は以上のような運用上の課題を見極めつつ、その解決策として我が国にあったエネルギー作物の選定と利用の最適化を図ることが主な命題です。
如何にしてエネルギー作物をバイオガス原料として効率的に変換するかを導き出していきたいと考えています。
アミタグループのバイオガス事業における新たな価値創出にご期待ください。

(スタッフ:松本)