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持続研通信 No.77 芙蓉号


パラオよりタロイモの畑



夏真っ盛り、8月は心が弾む時期ですね。
私共の拠点である京都盆地の暑さはまた格別ですが、その暑さすら楽しむ境涯で日々活動に勤しんでおります。
さて持続研通信・芙蓉号では、宮城県加美町から生ごみの分別実証試験業務の受託、
パラオからはJICA中小企業海外展開支援事業の採択、についてお届けします。どうぞご一読ください。


【パラオ】JICA中小企業海外展開支援事業 案件化調査の採択を受けました


昨年度末で環境省「平成28年度我が国循環産業海外展開事業化促進業務」は終了となりましたが、パラオ共和国での包括的資源循環モデル樹立はJICA事業の補助を受け継続していくことが決定致しました。
事業共同しているプラントメーカーの株式会社ヴァイオス(和歌山市)を申請主体とし、アミタ持続研は外部人材として原料のIN-OUTの管理と運営を担います。
本年10月に調査を開始する予定で、本調査は現地における事業実施に向けた最終調査という位置づけです。

資源循環の重要な視点としてメタン発酵消化液(液肥)の農業利用が挙げられます。
パラオ国では農業者数が少ないことから、液肥の農業利用は循環モデル樹立のための大きな課題であり、そしてチャレンジでもあります。
現計画では液肥をエネルギー作物に散布して、収穫物をバイオガスプラントに還元するモデルを検討していますが、農業作物生産、飼料作物生産、土壌流出防止など様々な場面での循環ループが考えられます。

果たしてどのような液肥利用計画、ひいては閉鎖系での循環モデルを策定できるか、今冬を目途にご報告できればと思っています。

養豚飼料ともなるキャッサバ


【加美町】8月末から生ごみ分別実証試験がスタート


8月1日に宮城県加美町と「平成29年度バイオガス化事業実現に向けた生ごみ分別・回収実証試験業務」の業務委託契約を締結いたしました。
加美町バイオマス産業都市構想に掲げているバイオガス化プロジェクト実現のためには、主要原料となる生ごみの徹底した分別と高い回収率が重要になってきます。
本業務はモデル地区、モデル事業者の方々に協力して頂き、その実証結果を分析することで生ごみ分別回収の課題抽出ならびに対策検討することを目的としています。
成功のためにはモデル地区参加世帯の方々の高い意識付けと参加が不可欠でありますので、まずはしっかりと住民説明会を開催し、ご理解ご協力をお願いして参ります。
実証試験の様子と結果については次号にてご報告いたします。

分別実証試験の概要
実施期間:2017年8月28日(月)~9月29日(金)
実施場所:中新田 中新田小学校区南町地区
     小野田 東小野田小学校区 下野目地区
     宮崎 旭小学校区南永志田地区
対象世帯:各地区約20世帯
対象事業者: 10事業者


南三陸での生ごみ分別の様子




 イベント・講演会のお知らせ


・関西バイオマス発電展にて弊社野添が登壇予定!
 「地域社会に多様な効果をもたらす資源循環事業」と題して講演を行います。
 日時:9月21日13:30~15:30
 場所:インテックス大阪
 http://www.bm-kansai.jp/

・佐賀市環境フォーラムにて弊社本多が「深化する共生農業と循環社会」と題した講演を行いました。
 https://www.city.saga.lg.jp/main/36552.html

・クリーンエネルギー8月号に弊社東垣の執筆記事が掲載されました


 アミタグループからのお知らせ


会長・熊野のそっ啄同時 
▼連載第4回「科学」「テクノロジー」は「生命の尊厳」を守れるか?
▼2018年度の新卒・第2新卒の秋採用のエントリーを受け付けています!
▼認証事業(FSC/MSCなど)の審査員と契約審査員をを募集しています】“森や海に詳しい方・お好きな方”“ISO内部審査員資格”などを活かせるお仕事です!
 契約審査員の募集はこちら
 認証事業の最近のお仕事:7/24には、南三陸本庁舎のFSCプロジェクト認証を行っております!
▼おしえて!アミタさん Facebookページリニューアル「おしえて!アミタさん」は、企業の環境・CSR・サステナビリティ戦略に役立つ情報を発信するウェブサイトです。6/29のCSRJAPANとのWebサイト統合により、Facebookページもリニューアルしました。
▼南三陸BIO(ビオ)工場見学のお問い合わせ 南三陸BIOは2015年10月に開設したバイオガス施設です。環境・震災復興・地域コミュニティなどの体験学習の場としておすすめです。


 スタッフ雑記「絶滅危惧作物」


京都では祇園祭が終わり、次はお盆の五山送り火が控えております。
先日、九州は大分県の国東半島へいってきました。
国東半島は地理的な位置としても火山性の地形としても特異な性質をもっており、そのせいもあってか独特の風土風習が残っている素敵な場所です。
ここには、お祭り、魚介類、湧水など他に類をみない地域資源が多くあるのですが、今回はシチトウイをご紹介したいと思います。
シチトウイ(七島藺)はカヤツリグサ科の背の高い植物で和名をシチトウ(Cyperus monophyllus Vahl) と言います。古くから畳表に使用されてきた素材で、国東半島では江戸時代にシチトウイ産業が花開いたそうです。
リュウキュウ畳の原料、と言えば分りやすいでしょうか。
いわゆるイグサとは別種で、通常の畳表よりも耐久性、耐火性がとても優れており、その特徴から囲炉裏周りや柔道畳に適用されてきました。
しかしながら、機械化が難しく生産加工に手間のかかるシチトウイ栽培は時代の流れと共に激減しました。
平成20年には生産者がなんと5戸にまで減少し、産地としては絶滅寸前でしたが、地域の有志が立ち上がり平成28年には生産者10名にまで復活したとのこと。
現在は地域の廃校を活用して栽培、収穫、加工の拠点をつくり流通、商品開発まで幅広く取り組んでおり、U・Iターンの受入れ体制をいっそう強化していらっしゃいました。
時代に取り残され絶滅が危惧されていた作物は、裏を返せば国東でこそ成立する他所ではまねできない地域固有の作物です。
稀有な産品としてゆっくりとしかし堅実に、新しい形で再生されていくことと思います。
水稲栽培が景観、保水、共同作業、食文化、などおコメ以外の価値をもたらすように、かつては卸問屋が成立するほど栄えたシチトウイ栽培も集落の助け合い、地域経済、農業技術、民芸など、暮らしと生業の価値とともに蘇ることを願ってやみません。

(スタッフ:纐纈)