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持続研通信 No.78 藤袴号


<国東市で孵化したアカウミガメ(絶滅危惧種)の赤ちゃん>




【加美町】「バイオガス事業化に向けた生ごみ分別・回収実証試験業務」を実施


8月28日から9月29日の期間、宮城県加美町で「平成29年度バイオガス化事業実現に向けた生ごみ分別・回収実証試験業務」を実施いたしました。

生ごみ分別は誰もが初の試みとなるため、多くの異物が混入すると想定していました。
しかし初日から異物がほとんど混入しておらず、そのまま最後まで異物混入率が1%以下の素晴らしい結果となりました。
事前の説明会を入念に行ったことはもちろんありますが、各区長をはじめ参加者の意識が高かったことが主因だったと思います。
同様に町内の飲食店など事業者からも生ごみ分別を試験してもらいました。
臭気が気になる暑い時期で、作業効率を考えると分別はかなりの手間となりますが、こちらも異物混入がほとんど見られませんでした。
一方で、生ごみの回収面では、ゴミ箱に投入する際生ごみの水分が飛んで汚れることや、一人暮らしの高齢者の方が収集ステーションに持ち込むことが困難である、等の改善すべき課題は見られました。
実証を通じて取得したデータを分析することで、焼却ごみに含まれる生ごみの割合を特定でき、バイオガス化でどれだけ焼却費用を削減できるか判明します。焼却処分されていた未利用資源(生ごみ)を地域内で活用するバイオガス化事業の実現に向け、今回の試験結果は大変意義のある結果となりました。
引き続きアンケートの実施や報告会を通して、加美町と共に今回結果を総括してまいります。


【国東市】10月中旬から循環教育プログラムがスタート


大分県の国東(くにさき)市は、世界農業遺産とバイオマス産業都市構想の両方に認定されており、地域の環境保全や資源循環の活動が活発に行われている自治体です。
その国東市内の国東小学校において小さな資源循環の体験学習を行う循環教育プログラムを実施することが決まりました。
小型のメタン発酵設備を手作りして校内に設置し、給食調理残渣などの生ごみからバイオガスを作り、菜園では液肥を用いて野菜作りを行います。
生ごみからエネルギーや肥料ができ、それを学校内で使うことで資源が循環していることを学ぶプログラムです。
今回プログラムでは4年生の総合学習の一環として、10月17日にメタン発酵設備の製作と生ごみ投入、11月中旬にバイオガスを使ったエネルギー利用、12月の学校公開の場で体験学習の内容を全校児童、保護者、地域の方に向けて発表する予定です。

プログラム開始に先立ち、8月に小型メタン発酵設備の試作を行いました。バイオガスが燃えた時は、本当に大きな感動を得ることができたので、子供達にもこの感動を体験してもらえるようしっかりと準備を進めていきます。


【南三陸町】福島県立医科大学・会津医療センターで「南三陸産当帰(とうき)」が採用






南三陸町にて復興支援の一環としてアミタ持続研の提案から始まった当帰の栽培では、千葉大学環境健康フィールド科学センターから苗提供及び栽培技術指導、そして会津医療センターからは収穫した当帰の品質評価及び改善助言を頂いてきました。そしてこの度、医療用生薬としての品質評価が得られたことから、同センターでの臨床利用に「南三陸産当帰」として採用されました。
南三陸町での当帰栽培は、地域の農業生産法人・(株)南三陸農工房で復興のシンボルとなる新たな農産物生産の取り組みとして2012年から始まりました。
以降、千葉大学環境健康フィールド科学センターと会津医療センターの「湯揉み」等の指導を受け2015年収穫分から採用を目指しました。同年の収穫分は成長不足の判定で採用は見送られましたが、2016年収穫分は使用可能であるとの品質評価が得られ、今年6月から会津医療センターで医療用に使用が開始されました。
今後は更なる収量増加と品質向上を両立させ、「南三陸産当帰」が臨床の現場でより広く使用されるよう、関係者一同更なる連携を図りながら復興支援に寄与していきます。


 イベント・講演会のお知らせ


・9月 JICA沖縄「カリコム諸国における持続可能な廃棄物管理コース」にて弊社長谷川が資源の地域循環と題した講座を実施
・9月 関西バイオマス発電展(インテックス大阪)にて弊社野添が講演
9月 立命館大学アジア太平洋大学(APU)と合同講座を実施





 アミタグループからのお知らせ


< 会長熊野のそっ啄同時 連載第5回 「ポスト近代社会~持続可能な産業と社会システム」 >

< 12月10日持続可能な未来創造を考える 【地球未来シンポジウム2017「希望の探求」】を共同開催します >

< 「南三陸町役場・歌津総合支所新築工事FSC認証プロジェクト」への認証伝達式が開催されました >

< 鹿児島県垂水市で、ブリ養殖業に対しASC養殖場認証の審査を10月2~3日に実施。3日の認証審査の様子をメディア公開します >

アミタグループ採用情報のお知らせ
< 中途採用 >
< その他の採用 >


 スタッフ雑記「カメの里帰り 」


気温が少しずつ下がり、天が高く秋虫の音が心地よい季節となりました。
突然ですが、先週幸運にも孵化直後のアカウミガメの赤ちゃんを見る機会に恵まれました。
場所は大分県国東半島の某所。砂浜で育っていた卵がちょうど孵化したタイミングで、必死に動く赤ちゃんガメの姿は懸命に生きようとする命そのもののように見えました。
大海から日本近海にまでたどり着いた母ガメがどのように産卵場所を決めるか、孵化の成功率はどのような条件で上がるか、孵化した赤ちゃんガメはどのタイミングで大海原へ向かうか、などなど一連の再生産活動には進化の過程で備わったウミガメの行動生態の特徴がぎっしり詰まっていました。
「昔は砂浜がもっと広くてウミガメが何頭もあがっちょったんやけど」
と言いながら、地元有志の方々は睡眠時間を削ってウミガメの産卵場所の確保や卵のモニタリング、そして孵化前後のケアを粘り強く続けておられます。
そんな長年の取り組みは、国東半島の浜を選択したウミガメの産卵・孵化の成功によってこの上ない形で報われているのだと感じました。
たくさんの赤ちゃんガメが大海で元気に育って、また里帰りできることを願っています。

(纐纈)