- 山村再生プロジェクトトップ>
- 山村再生プロジェクトとは?>
- 山村再生プロジェクト実施内容>
- 現地研修(Part1 滋賀会場) 開催結果概略
現地研修(Part1 滋賀会場) 開催結果概略
2010/11/12 現地研修(Part1 滋賀会場) 開催結果概略
11月12日(金)に安曇川公民館(滋賀県高島市)にて、「山村再生・現地研修(Part1 滋賀会場)」を実施しました。
天候にも恵まれ、秋空が広がるなかでの開催となり、約30名の方が参加されました。
当日は「基調講演」、山村再生プランの「事例発表」、「質疑・意見交換」を実施しました。それぞれの概略は以下のとおりです。
基調講演「山村再生の技術と実践」 山本信次委員(岩手大学農学部 准教授)
山本委員からは、山村再生の捉え方をはじめ、山村ビジネスのキーポイントである「マーケティングの技術」についてご講演頂きました(以下、山本委員のコメントを抜粋)。
- 山村単独だけでは山村は成り立たない。都市もまた同じ。山村で生産された商品がマチ(都市)で流通・販売されることで、はじめて山村が潤い、マチもまた豊かになる。
- ゆえに、ムラとマチの関係性をつくりなおし、その中で本来のムラの姿を取り戻すというのが山村再生だと考えている。
- 山村ビジネスは地域資源をつかわないと意味がない。売れるしくみをつくって、消費者ニーズや社会ニーズをとらえることが大切である。また、山村と都市をつないでいけるコーディネーターの存在も大切である。
事例発表
事例発表では、過年度や今年度の山村再生プラン実施主体の方々に、それぞれの取組の経緯や事業への想いについてご発表頂きました(以下、発表者のコメントを抜粋)。
■「駆除するだけではもったいない」シカ肉の流通促進事業 (平成20年度山村再生プラン)
松原 勲氏(朽木猟友会 会長)
- ここ5~6年の間に鹿が激増しており、捕った後のことを考え、鹿肉の加工販売をはじめた。
- 他の地域の加工施設の見学を通じ、朽木の鹿肉の品質と加工販売を実施することについて自信を得た。
- 猟においては肉の質を落とさないよう、首から上しか撃たないようにしている。
■ジビエ鹿肉料理の普及と活用ルートの開発事業 (平成22年度山村再生プラン)
山根清孝氏(特定非営利活動法人奈良の食文化研究会 理事)
- 鹿の食害による森林崩壊の解決にむけて、当研究会の人的資源(大学関係者、食のプロ、流通関係者)を活かし、本事業を実施することとなった。
- シカ肉料理のレシピの公開や鹿肉商品の開発などを実施している。
- 本事業を通じて、鹿の食害の抑制、延いては森林保護につながればと考えている。
■間伐材製品キット化と展示販売の仕組みづくりによる、間伐材利用促進事業 (平成22年度山村再生プラン)
山田國廣氏(京都精華大学 人文科学部 教授)
- 本事業に取り組んだ動機は、①間伐材の活用について考えなければいけないと思ったこと、②本学の演習で公民館の再生を実施することになったことの2点である。
- 本事業を通じて若い人の職場(就職機会)をつくりたいと考えている。
- 先日、間伐材の小屋のキットの組立試験を行ったところ、学生を中心とするメンバーで、2時間で完成させることができた。
質疑応答
質疑・意見交換では、滋賀県高島市で実施されている伝統文化の再生の活動を事例としながら、山村再生のあり方について会場との意見交換が行われました。
意見交換のなかで、山村ビジネスを実施する上では、山村のニーズと社会のニーズの一致が大切であることが改めて確認されました。
「現地見学」 開催概略
過年度に山村再生プランに採択された「朽木猟友会」の シカ肉加工所(滋賀県高島市朽木)と「一般社団法人 安曇川流域・森と家づくりの会」の モデルハウス「もりいえ」(滋賀県大津市伊香立)を見学しました。約20名の方が参加されました。
朽木猟友会 シカ肉加工所
シカ肉の加工の作業内容について、参加者から多くの質問が寄せられていました。なお、施設内の案内をして下さった朽木猟友会の松井氏から、商品として使用する部位は背ロース、モモ、マエカタであることや60kgのシカから13kgくらいの肉がとれること、また、肉質を維持するため、撃ってから搬入時間は1時間以内としていることや熟成期間はニーズにより変えていることを紹介していただきました。
また、加工施設を見学した後は、鹿肉の試食会も行われました。試食では、ハム、ロースのカルパッチョ、マエカタのバーベキューの3種類をご用意頂きました。試食会においてもっとも多かった質問は、バーベキューの味付けについてであり、「味付け肉の販売はしていないのか」といった質問や「味付けはどのようにしているのか」といった質問が寄せられていました。
この質問に対し、松原氏からは、シカ肉の肉質上、タレに漬け込むと肉が硬くなるので、焼く直前に味付けをしているといった点や、味付けは松原氏のオリジナルであることが紹介されました。
一般社団法人 安曇川流域・森と家づくりの会 モデルハウス「もりいえ」
間伐材の利用にこだわった「もりいえ」では、宮村太氏(安曇川流域・森と家づくりの会 代表)より、これまでの安曇川流域・森と家づくりの会の活動内容や取組みに対する想いについてご紹介いただきました。
「もりいえ」ができる以前から、見学会の実施など、安曇川流域・森と家づくりの会は精力的に活動されておられますが、宮村氏から「参加してくれた全ての人が家の販売に直結するわけではないが、少しでも多くの方に活動のサポーターになってほしい」との想いが述べられました。
なお、モデルハウスでは、安曇川流域・森と家づくりの会のメンバーの栗本氏や山下氏からも活動の紹介を行って頂きました。特に栗本氏の「天然スギだけが持つ曲がりの美しさや間伐材を利用することの意義」に関する説明はとても印象的でした。