持続研通信 No.54 木犀号
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皆様
こんにちは。持続研通信編集部の出口です。
近ごろすっかり秋めいてきました。秋の一句で私が思い出すのはこの詩です。
見わたせば 花も紅葉もなかりけり 浦のとまやの 秋の夕暮 (藤原定家)
「派手なものは何もないけど、あばら屋が夕暮れに染まっているだけで秋を
感じるよ」なんて。日本人特有の美意識をとうまく表現した一句だと感じます。
私たち、現代の日本人の心の中に、このような美意識はいったいどれくらい
残っているのでしょうか。
さて、今回の持続研通信・木犀号は、南三陸森里海のササニシキと
たかしま生きもの田んぼ米のご案内、2つのイベント情報がございます。
今年もまた、ぴかぴかの新米に出会える季節がやってきました。農家さん
の思いがいっぱいつまったお米です。ご注文先のリンクを載せています
ので、ご賞味いただければ幸いです。
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持続研通信 ~ 13.10.07 ~ No.54 木犀号
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株式会社 アミタ持続可能経済研究所
―・―目次―・―
●お知らせ : 南三陸 森 里 海のササニシキ まもなく発売です!
: 台風災害にめげず、たかしま生きもの田んぼ米も新米販売開始!
●イベント情報:【10/11(金):一般向け】第3回ソーシャルシネマ・ダイアローグ
:【11/2(土):大学生向け】素敵に面白いオトナたちと、
「働く」ことを話あい大会in京都
●スタッフ雑記: 『氾濫原 はんらんげん』
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●お知らせ: 南三陸 森 里 海のササニシキ まもなく発売です!
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東日本大震災の被災地、南三陸町で今年も無農薬ササニシキの
収穫が始まります。かつてコシヒカリと並ぶ人気銘柄品種でありながら
栽培の難しさから生産農家が激減し、「幻の米」とまで呼ばれるまでに
希少なお米となってしまったササニシキ。昨年はらでぃっしゅローソン
での限定販売でしたが、今年からは仙台市内の有志のお米屋さんでも
販売され、ネットでの通信販売も始まります。
「南三陸 森 里 海のササニシキ」を販売するのは仙台市太白区の
「米工房いわい」。これまでにも店頭でお米が買われる度に被災地へ
の義援米を積み立てる「復興支援米」を被災地の仮設住宅へ届ける
など、独自の復興支援を行ってきました。社長の岩井宏太さんは、
「ササニシキじゃなければ米じゃねぇんだ!」と他のお米を買いにきた
お客さんに詰め寄り、女将さんに叱られるほどのササニシキ一徹の
頑固親父。息子さん夫婦も復興支援米や直営のおにぎり屋さんを
盛り立てる元気なお店です。南三陸のササニシキの販売は10月下旬
頃から下記HPで始まります。ぜひご利用になってみてください!
▼ご注文はこちらから
http://www.kome-iwai.com/
※「南三陸 森里海のササニシキ」の販売開始は10月下旬を予定しています。
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●お知らせ: 台風災害にめげず、たかしま生きもの田んぼ米も新米販売開始!
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9月に上陸した台風18号は滋賀県高島市でも大きな被害をもたらし、
各所で道路の寸断や土砂崩れが発生し、現在も復旧工事中です。
アミタ持続研が創立以来、一環としてプロデュースに関っている
「たかしま生きもの田んぼ米」の生産農家も大きな被害を受けました。
しかし災害にめげず、今年もコシヒカリ、ミルキークィーン、そして
ササニシキの新米出荷とネット販売が始まっています。こちらも
ぜひご覧になってみてください!
▼ご注文はこちらから
http://ikimonotanbo.jp/
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●イベント情報: 【10/11(金):一般向け】第3回ソーシャルシネマ・ダイアローグ
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ソーシャルシネマ・ダイアローグは、社会的なテーマを取り上げた
ドキュメンタリー映画の上映とトーク&ダイアローグを組み合わ
せたイベントです。
3回目のテーマは、「エネルギー」。
10年かけてデンマーク・サムソ島の100%クリーンエネルギー化を
実現したソーレン・ハーマンセンや、オランダで、再生可能
エネルギー普及に取り組む活動家などを紹介するドキュメンタリー
をもとに、持続可能社会の実現の仕方について意見交換を行います。
是非ご参加検討ください。
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●イベント情報: 【11/2(土):大学生向け】素敵に面白いオトナたちと、
「働く」ことを話あい大会in京都
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「卒業後は社会に出て働いて・・・」とぼんやり描く未来の自分。
自分の人生の中で、仕事をどう位置づけるのか?生活の糧を稼ぐ
もの?やりがい?いつかは起業?
色んな分野で「働く」「生きる」に真剣に取り組む、素敵に面白い
先輩社会人と対話するイベントを開催します。
是非ご参加検討いただくとともに、周囲のお知り合いの大学生の方に
ご案内いただけますと幸いです。
当日は、鎌倉投信(株)新井取締役、放送作家谷崎テトラ氏他
多数の先輩社会人の参加を予定しています!
▼詳細・申込はこちら
http://www.amita-hd.co.jp/seminar/in.html?m=09zizoku
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●スタッフ雑記: 『氾濫原 はんらんげん』
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京都では9月に見事な中秋の名月をみることができました。
ススキの穂も光に照らされ、エネルギッシュな蝉の声は
いつしか秋虫の音色へと変わっています。
初秋は涼しく快適な気候である一方で、台風の季節でもあります。
京都の桂川にほど近いところに住んでいる私は、台風18号の
影響を大きく受けました。また京都市・府内に限らず、近県でも
橋脚の流出や土砂崩れなど様々な被害がありました。
滋賀県高島市でも「たかしま生きもの田んぼ米」の栽培農家の
水田が堤防の決壊で激流に飲み込まれ、先祖代々のお墓をも
押し流されてしまった方がいらっしゃいます。
自然災害、とくに河川氾濫の恐ろしさを感じさせられた1日でした。
被害を受けられました方々へは、謹んでお見舞い申し上げます。
川の流れは毎年のように変わります。今でこそ河岸は堤防で
固められており多くの洪水は抑制されていますが、土木技術が
発達する前は多くの河川で大小の洪水災害が起こっていたと思います。
一方で、洪水が起こりやすい地域、いわゆる氾濫原(はんらんげん)
と呼ばれる地域の多くは、古くから豊かな農地として利用されてきました。
こうした地域では洪水による肥沃な土壌の供給や魚の繁殖環境など、
河川が氾濫することによって得られたものも多かったかと想像します。
「災害大国ニッポン」とも呼ばれたりしますが、私達の祖先は
今回のような大規模撹乱も含めた自然の変化と折り合いをつけながら
豊かで多様な生活様式を練り上げてきたのだと感じます。
古くからの生活様式が急変した現代でも、先人の知恵や歴史の
記録に学びながら備えられることが多くありそうです。
(纐纈 渉)