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持続研通信 No.68 白梅号

パラオより


みなさま、こんにちは。アミタ持続研の島津です。
今年は暖冬と云われていますが、暖とは程遠い、厳しい寒さが続いていますね。 先日各地を襲った大雪、お住まいの地域はご無事でしたでしょうか。 こんな時こそ地域の「レジリエンス」の大切さを痛感します。

さて今回の持続研通信・白梅号は、役員変更に関するお知らせ、月刊誌への寄稿やセミナー登壇のご案内、アミタグループからのお知らせなどをお届けします。
どうぞご一読ください。

持続研 役員変更に関するお知らせ

このたび、2016年度を迎えるにあたり持続研の役員変更をおこないました。
詳細はこちらをご覧ください。

新代表・角新支朗のトップメッセージはこちら

これからも新体制のもと、持続可能社会の実現に努めてまいります。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

アジ研ワールド・トレンドに寄稿

日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所が刊行している月刊誌「アジ研ワールド・トレンド」 2016年2月号(No.244)での特集「太平洋島嶼国の持続的開発と国際関係」のなかで 「太平洋島嶼地域における循環型システムの構築 -パラオを事例に-」と題して弊社の須永が寄稿しております。詳細はこちら

アミタ持続研では、島嶼国でのコンパクトな循環型・低炭素社会モデルづくりを目指し、 平成25年度よりパラオ共和国にて調査・実証を進めています。
今後の展開にどうぞご期待ください。

3/3 バイオマス発電展にて登壇

3月2日から3日間、東京ビッグサイトにて開催される「第1回 国際バイオマス発電展」
セミナープログラムの一コマで弊社の纐纈(こうけつ)が登壇いたします。

日時:3月3日(木)16:00~17:00
場所:東京ビッグサイト A会場
内容:官民連携による包括的資源循環システム

太陽光・風力発電に次ぐ、再生可能エネルギーとして近年注目が集まっているバイオマス発電。
本展はそうしたバイオマス発電に関連するあらゆる装置・技術、サービスが一堂に出展されるそうですよ。是非ご来場ください。http://www.bm-expo.jp/

トウキ根も収穫しました


昨年夏に「葉」を刈り取り、年末には「トウキリーフパウダー」として加工したトウキ。
「根」の方も昨年末に京北と南三陸で無事に収穫を終えました。

昨年夏の日照りや水不足に悩まされていましたが、そんな厳しい気候条件の中でも逞しく育ち、例年通りの収量を見込んでいます。
根は今後、煎じ薬の原料として使われたり、地元での利用を検討しています。

中国産トウキ根の価格が高騰しつつある今、栽培期間中農薬不使用の貴重な国産トウキは、多方面から引き合いがあります。 南三陸産、京北産のトウキがみなさんの身近なところでお役に立つ日も、そう遠くはなさそうです。

トウキについての詳細はこちら


アミタグループからのお知らせ


< 2016年度決意表明 >
 2016年は、2015~2017年にかけて実施するグループ業態改革における要の年となります。
 詳細はこちら

< 新組織体制に関するお知らせ >
 2016年1月11日より、アミタグループ各社の組織体制を変更しました。
 詳細はこちら

< 会長熊野のそっ啄同時 「前へ」 >
 現在、世界の多くの政府や企業といった組織は、発展すればするほど暴力性を増し、
 社会への信頼を低下させています。続きはこちら

< 代表取締役 佐藤博之がTEDxKyoto 2015(※)でプレゼン >
 「Building sustainable communities and their worldwide network」と題し、
 アミタが描く持続可能な地域やパラオでの地域モデル展開についてご紹介しています。
 動画はこちら(言語:英語)

 ※TEDxKyotoの詳細については1月16日にオンエアされた
 「未来開拓者ラヂオ」をお聴きください。
 http://radiocafe.jp/201504005/episodes/2016-1-16oa/

< 当グループ取締役 石田秀輝の著書『光り輝く未来が、沖永良部島にあった!
 ~物質文明や金融資本主義社会はもう限界です~』が発売開始 >
 この度、持続可能で心豊かな暮らしの在り方について記した石田の書籍が
 販売開始となりました。今後の暮らしやビジネス、サービスの在り方のヒントが詰まった
 内容となっています。是非ご覧ください。詳細はこちら

スタッフ雑記「『野鳥の楽園』の作り方」


北風が吹き抜ける、広い、広い干拓農地。冬景色の田んぼの中に、ぽつり、ぽつりと小ぶりの電柱のような木の杭が立てられています。杭の上の方には、ここ、石川県加賀市の柴山潟の干拓農地を中心に生産されている生きものブランド米「加賀のティール」のブランドラベルの看板が誇らしげに掲げられています。広告用の看板? はい、そうです。でも、杭の役目は広告看板ではありません。野鳥の楽園を育むために農家が仕立てた、特別な仕掛けなのです。

地を這うように低く飛ぶ一羽のノスリ(タカの一種)が、ふわーんと舞い上がったと思うと、すとんと杭の上に止まりました。杭の上は鳥が止まりやすくするためにTの字に丸太が組んであります。そう、これは猛禽やサギなど、田んぼの周辺で狩りをする野鳥たちが獲物を探したり休んだりするために設置された「猛禽ポスト」と呼ばれる仕掛け。いわば野鳥たちの憩いのスペースとなるベンチなのです。


あ、もう一羽のノスリが、やはり地を這うように低くとびながらまっすぐに猛禽ポストに向かっています。おおっ、縄張り争いの闘いが始まると思いきや、ポストの上に仲良く二羽で止まってしまいました。ノスリの繁殖シーズンは早春からなので、早くもカップルが誕生した模様です。これは正月早々めでたいニュースです!

かつて、田んぼの周辺には稲穂を天日で干すための「はさ掛け」の木や杭が必ずあり、それがタカなどの猛禽やサギ、コウノトリなどの大型の野鳥が休んだり獲物を探したりする際の大切な止まり木になっていました。でも、コンバインで収穫と脱穀を同時に行い、稲籾は乾燥機で乾かす時代となってからは、田んぼの原風景であった「はさ掛け」が見られなくなり、その木や杭も姿を消してしまいました。


イカルチドリ(初夏)

広大な柴山潟の干拓農地でも、止まり木がないために畦に座り込んでいるタカや、田んぼから離れた道路沿いの電柱に止まるタカの姿が見られていました。これでは獲物も見つけにくいでしょうし、畦に座っていてはキツネなどの天敵に襲われるリスクも大きくなってしまいます。そこで考案されたのが、この「猛禽ポスト」。設置後しばらくはカラスだけが利用していましたが、年が明けてようやく猛禽類のノスリが利用しはじめています。

野を擦るように低く飛ぶから「野擦り」の意で付いた名前とも言われますが、主な獲物は田畑の野ネズミやモグラなどの小型哺乳類です。鷹狩りでキジなどの鳥を獲物にする殿様からは“役に立たないタカ”という意味で「マグソタカ」などとありがたくない名でも呼ばれていました。でも馬糞が最高の肥料になるのと同様に、田畑の害獣を退治してくれるノスリは農家にとっては大切な存在なのです。


チュウサギとゴイサギ(夏)

「猛禽ポストなんか作って、タカがカモを狩ったりしないの?」という心配をする声も聞かれます。カモは夜行性なので、昼間に活動する猛禽の餌食になることはあまりないのですが、そもそもノスリは鳥を襲うことは滅多にありません。それどころか、野鳥専門のハンターであるオオタカを自分の縄張りから追っ払う「里山の用心棒」のような存在なのです。

野鳥の楽園の柴山潟は、冬の水鳥たちだけでなく、春からの耕作期にもシギ類やチドリ類、サギ類など多くの水辺の野鳥を育んでいます。 頼もしい用心棒を得た野鳥の楽園は、今年も新たな物語を育んでいくことでしょう。

「里山の用心棒」ノスリのことをもっと詳しく知りたいかたは、ぜひこちらをご一読ください。
本多清のいまさら聞けない、「企業と生物多様性」この生きものに注目(その3)

(本多)