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持続研通信 No.67 柊号

農林水産省主催で11月18日から3日間開催された「アグリビジネス創出フェア2015」に、トウキの研究成果と関連製品を出展しました。

今春より機能性食品の表示制度がスタートしたせいか、予想以上に薬用植物トウキに興味を持つ方が多く、そんな来場者の方々と直接お話しすることが出来、改めて世間の健康に対する関心の強さを目の当たりにしました。また同様の事業に取り組む企業や機関の方と互いの状況や課題について情報共有し、大変勉強になりました。今後の製品開発に役立てたいと思います。

薬用植物についての研究はこちら
トウキ製品紹介はこちら


南三陸BIO、生ごみ初搬入の日


みなさま、こんにちは。アミタ持続研の島津です。
気が付けば年の瀬。
体調を崩しやすいこの時期にこそお勧めしたいのが、南三陸産トウキ根入り入浴剤「清癒湯」。身体の芯までしっかり温めてたっぷり汗をかいて、溜まった疲れを流し出してしまいましょう。

さて今回の持続研通信・柊号は、南三陸のバイオガス施設BIOや認証取得に関する話題、パラオの政府関係者による視察ツアーや地方創生セミナーのご報告などをお届けします。
どうぞご一読ください。

南三陸BIO、ついにスタート


さる10月16日に執り行われた南三陸BIOの竣工式。
当日は絵に描いたような晴天で、予想を遥かに超える70名以上の方々に参列いただきました。多くの祝福と期待感を頂戴し、関係者一同、感謝の気持ちで胸がいっぱいになった一日となりました。
竣工式の様子はこちら

そしていよいよ10月19日より、南三陸町全域での生ごみ分別と受入開始、BIO稼働開始となりました。ここに至るまで、現場では目まぐるしい準備を進めて参りましたが、稼働後も試行錯誤、悪戦苦闘の日々。よりよい運営方法を探りながら、まずは信頼第一、安全第一で南三陸の誇りとなる施設を目指したいと思います。
稼働後の様子はこちら


パラオの政府関係者による視察ツアーを実施


アミタ持続研では、パラオ共和国での「島まるごと資源循環モデル事業の実現」にむけて調査を実施しています。

このたびパラオ最大の州であり、カウンターパートであるコロール州の知事や州議会議長、国の廃棄物管理管轄部門長ら5名が11月3日から6日にかけて南東北地方を訪れ、南三陸町やリサイクル関連施設等を視察しました。


初日、南三陸町の町長表敬訪問では、佐藤仁町長とアダチ知事とのあいだで活発な意見交換がなされ、双方での取り組みが軌道に乗ればエコタウンとして連携していくことも検討したいとする前向きな姿勢がうかがえました。
その後の町内視察や南三陸BIOの施設見学では、現場や設備を目の当たりにし、震災後からの歩みや取り組みの概要について大いに関心を持っていただけたようです。


2日目には株式会社ジェーエーシー 蔵王資源リサイクル工場で、廃プラスチック類等のリサイクル施設を見学しました。

このツアーを通じて、パラオ側の政府関係者にアミタ持続研の提案する取り組みの意義をより具体的にイメージしていただけたと同時に、導入に向けた前向きな議論を行うことができました。
今後の展開にご注目ください。


仙台と大阪で地方創生セミナーを開催


前号でもお伝えしましたが、「『まち・ひと・しごと創生総合戦略』策定に活きる、循環・持続型地域づくりと地方創生セミナー」と題し、仙台と大阪で自治体向けの無料セミナーを開催しました。

本セミナーでは、ゲストに農林水産省(仙台・大阪)およびバイオマス産業社会ネットワーク(仙台)、JR西日本(大阪)をお迎えし、行政・NPO・企業それぞれの視点から循環型地域づくりに向けた先進事例や、実現に向けた実践的ポイント等を紹介しました。おかげ様で仙台と大阪で合計40名を超える方々にご参加頂けました。ご来場下さった皆様、お忙しいなか誠に有難うございました。


トウキ、アグリビジネス創出フェアに出展


仙台では日本バイオマスネットワーク理事長の泊みゆき氏より、豊富なデータをもとにあらゆるバイオマスの活用手法や成功・失敗事例をお聞きしました。大阪ではJR西日本の鰐淵氏より、企業が注目している地域でのビジネスについて多くの先進的な取り組みを知ることができました。アミタ持続研からは纐纈が南三陸での小規模・自立・循環型のまちづくりについて、現場のリアルなエピソードを織り交ぜながら具体的なステップをご紹介しました。

今回、多くの自治体の方から循環し持続していく地域づくりについて、その方向性に前向きなお言葉を頂けて大変励みになりました。地域の事情によって課題は異なるかと思います。そうした固有の課題について我々は全体を俯瞰し包括的なデザインのもとで“丁寧に実現する”ことが解決手法になると考えています。行政の部署を横断したり地域内外の団体同士をつなげたりしながら、これからもより地域に密着した仕事をして参ります。


アミタグループからのお知らせ

< 会長・熊野のそっ啄同時 「『テーマ』を持たない時代」 >
時代の激流の中で生きていくには、確固としたテーマが必要です。しかし今、日本という国にテーマはあるのでしょうか?国民それぞれにテーマはあるのでしょうか?
続きはこちら

< アミタ(株)は南三陸町で日本初の国際的養殖認証「ASC養殖場認証」審査を実施しました >
リリースはこちら
南三陸なうの記事はこちら

< 南三陸で町内のFSC認証取得者(FM認証・COC認証)への認証伝達式が開催されました >
リリースはこちら
南三陸なうの記事はこちら

< 日経新聞「交遊抄」に会長・熊野の執筆記事が掲載されました >
2015/12/2 日本経済新聞 朝刊
こちらで冒頭のみ無料閲覧可

スタッフ雑記「『あぢの郷』からの挑戦」

「いい味だね、食感がなめらかで甘みもある。これなら売れると思うよ。」
試食用のサンプル米を送った首都圏のお米屋さんから高評価をいただき、ほっとしました。
石川県の加賀市で今年から生産が始まった生きものブランド米「加賀のティール」がいよいよ販売開始です。ティールとは、英語圏で小型のカモ類を指す言葉。加賀市では多くのカモ類やハクチョウ、ガン類などが冬を越し、その多くが市内にあるラムサール条約登録湿地の片野鴨池を塒(ねぐら)としています。


雪景色の中を歩くトモエガモ。こうして昼間に活動する姿はなかなか見られません。

なかでも貴重なのが、絶滅危惧種のトモエガモ。国内で越冬する数千羽のおよそ半数が片野鴨池で越冬すると言われています。このトモエガモ、大きさはハトぐらいの小さなカモで、とても臆病で警戒心が強く、しかも夜行性なのです。昼間は鴨池で眠り、日没とともに群れで飛び立ち、田んぼで落穂などの餌をとる習性です。

そんな目立たない小さなカモたちを守りながら、次世代の農業を育むために付加価値化した生きものブランド米を目指そうとする若手中心の農家7人が、完全無農薬栽培のお米づくりに挑戦しました。カモは落穂を籾ごと食べるので、籾に付着した残留農薬の影響に配慮しなくてはなりません。とくに、稲穂が出てからヘリ空散されるネオニコチノイド系の殺虫剤は浸透性神経毒のため、カモの渡り行動や繁殖に影響を与えることが憂慮されています。


田植に臨む若手農家たち。無農薬栽培では手植え時代と同様の大きな苗を育てて用います。

一方、平日は勤めなどに出ている兼業農家の方々にとっては、多くの専門作業を要する無農薬栽培はハードルが高すぎて現実的ではありません。でも、農薬の使用回数を減らすと共に、より安全な農薬の選択基準を満たすことで影響を問題のないレベルまで下げることができます。こうした農薬の選択基準を設けていくことが、これからの共生型農業の普及促進には不可欠になります。これは、何も特別なことではありません。籾や葉茎ごと稲を家畜に与える「飼料米」の生産分野では既に始まっていることなのです。

兼業農家の有志農家たちが新たに挑戦した減農薬のお米は「あぢの郷米」という名で現地のJAの直売所で販売されています。「あぢ」とは、万葉集でも詠まれてきた小型のカモ類を指す古語です。小さな生きものがにぎわう様子を「あぢる」といい、アジサイの「あじ」や魚のアジと同源の言葉のようです。

ハクチョウやガンのような大きくて目立つ鳥ではなく、あえて小さな「あぢ」をシンボルとした理由は、このブランド米の栽培を通じて地域の貴重な生物多様性を可視化していく目的があります。ただ、どんなに高邁な理想を掲げていても、価格に見合った品質が確保されなくては市場からの継続的な支持は得られません。「無農薬だから美味しい」というのは幻想で、シビアな食味のハードルを越えるために多くの努力がなされてきました。


黄金色の稲穂の収穫日。「農薬使った田んぼより雑草が少ない!」とベテラン農家も手応えを感じていました。

「この取り組みを始めてから、仲間と一緒に田んぼのことで話す機会が増えた。今までそんなに付き合いもなかった者同士が一緒に力を合わせていけるのは楽しいよ。」
農家からのそんな言葉が、この仕事をしてきたことへの何よりの励みになります。
未来への花が、ゆっくりとつぼみを膨らませています。

(本多)