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持続研通信 No.73 寒木瓜号


<加賀市のランドマーク、白山を背景に朝焼けの中を飛ぶハクチョウ>


みなさま、こんにちは。アミタ持続研の島津です。
温かいお風呂の恋しい季節。南三陸産トウキ入り入浴剤「清癒湯」で心身ともにデトックス、年末年始を万全の体調で迎えましょう。

さて、今回の持続研通信・寒木瓜号は、稼働から1年経過した南三陸BIOからのご報告、アミタグループからのお知らせなどをお届けします。そして最後に冬らしい雑記を一本お届けします。
どうぞご一読ください。

 南三陸町にてバイオガス施設を核としたエネルギー創出に関する調査を開始



アミタは南三陸町でのエネルギー創出に関する新たな実証実験である「南三陸町におけるバイオガス施設を核としたエネルギー創出に関する調査」を本格的に開始します。
本調査は「エコタウン形成実現可能性調査等事業費補助金」の対象事業となりました。
▼「南三陸町におけるバイオガス施設南三陸BIOを核としたエネルギー創出に関する調査」の概要

今、南三陸町では家庭やレストランなど(食品加工施設を除く)から出てくる生ごみ等を資源化していますが、生ごみ以外のごみも出来る限り資源化しようという取り組みです。

具体的に何をするのかと言うと…
現在、町で「燃やせるごみ」として集めて焼却しているものをさらに4つに分別して、それぞれ燃料や堆肥などの資源に変えます。
「もったいない」の心を育てて、知恵と工夫で無駄のない豊かな暮らしを創造します!

<写真:モデル地区の住民の方にご協力いただき、「燃やせるごみ」の分別実証調査を開始しました>



 [南三陸BIO] 開設1年で見学者1,000人突破



昨年10月に開設した南三陸町のバイオガス施設「南三陸BIO(ビオ)」、このたび1周年を迎えました。
この間、町内小学校の社会科見学や民間企業・行政機関からの視察等、地域内外から1,000名を超える見学者を受け入れました。
10月より新たな実証実験・もったいないステーションも開始し、さらなる町内の資源循環と災害に強いまちづくりを目指します!
▼地域内資源循環や官民連携モデルを学ぶ場として、地域内外から多くの人が訪れています

 [南三陸BIO] 未来開拓者募集中



南三陸町でバイオガス施設「南三陸BIO」のオペレーター業務や地域住民の方との関係作りを担っていただける方を募集しています。
町の資源循環を担う中核施設で、私たちと共に町の未来づくりに携わりませんか?
▼アミタグループ採用情報
▼DRIVEキャリア「未来を創る」仕事に特化した求人サイトにも掲載中






 宮城県加美町が農林水産省のバイオマス産業都市に認定



アミタ持続研では、宮城県加美町の「加美町バイオマス産業都市構想策定支援業務」を受託し、今年2月~5月に同町のバイオマス産業都市構想の策定を支援しました。
10月5日に同町が農水省より平成28年度バイオマス産業都市の選定地域として認定され、10月20日に認定証が授与されましたのでご報告します。

南三陸に続き、加美町でも。
持続可能な域内循環型の町づくりを目指し、持続研スタッフは今日も各地域を奔走しています!
<写真:「加美町の総合戦略は『イカノエ』」と、自ら描いたイカの絵を手に満面の笑みを浮かべる町長。その根拠を知りたい方は加美町の町長日記をご覧ください!>
▼加美町のバイオマス産業都市構想の概要

 アミタグループからのお知らせ


< 会長熊野のそっ啄同時 「沈黙を強いる社会」 >
今まさに、人の心をコントロールする管理社会が出現し、暴力性を帯びた同調圧力で少数派や弱者の声を、自由を奪っています。

< 「TEDxKyoto 2016 "一期一会"」にリーディングパートナーとして参加 >
アミタは、10月に開催された「TEDxKyoto 2016 "一期一会"」に、リーディングパートナーとしてブース出展やイベントのサステナブルコーディネートを通して、来場者への環境啓発等のサポートを実施しました。

< Pavan Sukhdev氏が熊野とともに京都市長を表敬訪問 >
世界的な地球環境国際賞である「2016年(第25回)ブループラネット賞」を受賞された、環境経済学者パバン シュクデフ氏が、1997年に採択された京都議定書から20周年を機に京都を訪れ、アミタグループ代表の熊野とともに門川大作京都市長を表敬訪問されました。

< ASC養殖場認証審査機関としてブリ・スギ類の審査開始を目指します >
ブリ・スギ類のASC養殖場認証の監査規格を完成させ、同認証の対象魚種に追加しました。アミタは国内企業初の審査機関として、2017年中のブリ・スギ類の審査開始を目指します。

 スタッフ雑記 「冬の田んぼの景色の中で」



 加賀市の広大な干拓農地を見下ろす丘の上から、一群のハクチョウたちが二番穂の稲穂が実る田んぼの中にいるのを見つけました。
「二番穂」とは収穫を終えた後の稲株から再び伸びた稲葉が付けた穂のことで、収穫はされないものの、冬を過ごす渡り鳥たちにとっては貴重な糧となっています。

二番穂の実りを食べるコハクチョウの群れ。→
この何倍もの数が集まっています。 


 とくに二番穂が多く出るのは「早場米」と呼ばれる早生種の品種の田んぼです。
どちらかというと“業務用”の米でJAの買い取り価格も割安なのですが、コシヒカリより半月ほど早く収穫ができるので、収穫期の繁忙を分散させるため、多くの農家が一定の割合の田んぼで早生種の作付けをしています。
 その田んぼが、長い旅を続けて越冬地に到着した水鳥たちにとって「ごちそうの舞台」になります。

 食事中のハクチョウたちを驚かさないように気を付けながら、静かに車を田んぼへ横付けすると、ちょっと首を揚げて警戒の目を向けたリーダーのハクチョウも、やがて黄金色の二番穂をくちばしでしごき取っては食べる行動へもどります。


 コウコウ、コホコホ、という“おしゃべり”の声を聞きながら、車の中でパソコンを開き、夕方からの農家との打ち合あわせの資料づくりに取りかかります。
作業に集中していると、色々な意味のあるハクチョウの声が耳に入っても意に介さずにキーボードを打ち続けてしまいます。
 しばらくの時間が経ち、ふと車の窓の外を見ると、数十羽ほどだったハクチョウが、数百羽、いえ、千羽を越えるほどの数にふくれあがっていました。

↑マガンのファミリー。越冬地によっては数万羽もの群れでやってきます。


 渡り鳥の飛来が本格的なシーズンを迎えたことを知らせる景色に見入っていると、ハクチョウの群れの中に十数羽の、茶色い小柄な水鳥がいるのに気が付きました。マガンの家族です。ハクチョウもガンも、旅の直後は主に二番穂の田んぼの実りで空腹を満たすのです。

 年が明けると、冬の田んぼに水を張る「ふゆ水田んぼ」の取り組みが始まります。
東北の宮城県などでは主にガンたちの休み場を拡大する目的で、2ヶ月以上の長期にわたって水が張られますが、加賀市では一つの田んぼの水張りは1週間という短い期間で目的を果たせます。というのは、水を張る主な目的が、夜中に田んぼに来て落穂などの餌を採るカモ類たちに安全な餌場を提供するためだからです。一つの田んぼの落穂は一週間もすれば食べ尽くされるのです。

ふゆ水たんぼのハクチョウ。→
休んだり餌を採ったりして一日を過ごします。 


 1ヶ月以上の長期に渡り水を張ると、ハクチョウが畦を崩してしまったり、無農薬の田んぼでは雑草が生えやすくなるなどの影響が出てしまうのですが、一週間なら問題も起こりません。「どうせ冬の間は雨や雪で田んぼは水浸しになるからね」と農家の方も好意的に協力してくれます。

 冬の農地で水鳥の観察などの地道な調査を続ける鴨池観察館のレンジャーたちを「トリの人たち」と、やや冷ややかな目で見ていた農家も、「だんだんトリが可愛くなってきた」、「今年もまたノスリが猛禽ポストに来ているよ」と、楽しそうに語ってくれます。


 レンジャーと共に、水鳥の保全活動や地域の子供たちが参加できるイベントのプランを語り合う若手専業農家の姿を見ていると、この地域での自分の役割が一つの区切りを迎えられたことを感じました。

 そうそう、若手農家グループの「かが有機農法研究会」が生産する共生ブランド米「加賀のティール」の直販サイトも立ち上がりを迎えています。
よみがえった“伝説の美食米”農林21号や、首都圏のこだわり米穀店主たちを「全国から取り寄せたコシヒカリの中でダントツに旨かった」と驚かせた高い品質が自慢のコシヒカリを、全国に発送できるようになります。
 よろしければ、ぜひご覧になってくださいませ。

←加賀のティール・ブルーラベル(無農薬)の農林21号玄米です。他にもいろいろご用意しています。


▼加賀のティール・公式直販サイト

(本多)