「山村再生セミナー」 開催結果概略

「山村再生セミナー」 開催結果概略

 3月4日(金)にベルサール八重洲(東京都中央区八重洲)にて、「山村再生セミナー」を開催しました。全国各地から約120名の方が参加されました。
 当日は「講演(第1講演、第2講演)」、平成22年度山村再生プラン取組実施主体による「ポスターセッション」、「パネルディスカッション」を実施しました。 それぞれの概略は以下のとおりです。


第1講演「山村の自律に向けて ~山村の営みと生業~」
   赤堀楠雄委員(林政ジャーナリストの会 幹事)


 赤堀委員からは、「人と人とのかかわり」や「人と自然とのかかわり」を考えるうえで、山村の暮らしの営み(生活、生業、伝統技術など)がいかに大切であるのか。 また、山村自身も、自然と向き合い、世間とのつながりを考えながら"自律"していくことの重要性をご講演いただきました(以下、赤堀委員のコメントを抜粋)。


  • 山村の暮らしの営みのなかには損得勘定では計れないものがあって、そこでの思いが受け継がれ、備わる場が必要である。
  • 生活するうえでは、どうしても社会システムに頼らざるを得ない面はあるが、100%任してもよいというわけではない。山村も"自律"していくことが大切である。
  • "自律"する山村こそが「未来型社会モデル」であり、都市にいながらも何らかのかたちで自然とかかわっていける社会をつくっていかなければならない。
赤堀楠雄委員(林政ジャーナリストの会 幹事)

第2講演「山村の自立に向けて ~三方よしの山村ビジネスづくり~」
   平田賢典委員(みずほ総合研究所株式会社 主任研究員)


 平田委員からは、「山村ビジネスにおける三方よし(「楽しみ」「利益」「共感」)」の考え方や企業のCSR活動との連携の重要性など、 山村が"自立"していくためのポイントについて、ご講演いただきました(以下、平田委員のコメントを抜粋)。


  • 最新のソーシャルビジネスこそ山村ビジネスだと思う。ソーシャルビジネスとして山村を考えると、森林の維持、育成、山村社会の再生やコミュニティの再生、癒しの場の提供、温暖化防止など様々なことが提案できる。
  • 山村の"自立"に向けて、山村ビジネスに足りない「ヒト」「モノ」「カネ」は、CSR活動との連携など、企業から補いながら活動に取り組んでほしい。また、そのような取り組みを今後広めていくためにも、山村と企業を結びつけるためのプラットホームが必要である。
平田賢典委員(みずほ総合研究所株式会社 主任研究員)

ポスターセッション


 「平成22年度 山村再生プラン取組実施主体」の皆様より、これまでの取り組みについてご紹介いただきました。 当日は、パネルのほか、それぞれの成果物(商品の試作品やパンフレットなど)も合わせて展示され、活発な意見交換が交わされました。

ポスターセッション1 ポスターセッション2

パネルディスカッション


 パネルディスカッションでは、山村再生において「地元住民が自ら意思決定することができる体制づくり="自律"」と 「自分の足で立つための知恵やビジネスアイデア="自立"」が重要であることから、 山村の"自律"と"自立"をテーマに議論が行われました(以下、山村再生プロジェクト委員のコメントを抜粋)。


  • 仕事をするということはカネを稼ぐことだけではない。仕事をするから人と人がつながるというはたらきもあるように、仕事やビジネスには、多面的な意味や課題がある。どうすれば仕事を通じて地域をつくることに貢献できるか、という点も重要。
  • 山村のコミュニティや暮らしの中で営まれてきたものが、自ら律する中で続いていくことが、山村だけではなくどこにあっても人の暮らしが良くなるための基本である。
  • 山村に行くと、人が自然とつながっていることの確かさがよくわかる。山村とは本来、そのようなつながりが存在した地域であった。新しい形でのつながりを作り直さなければならない。
  • 自分達が作った産物に絶対的な自信があることは大前提だが、同じような産物を周囲が作っているときには、都会に同じように持っていくと価格競争になってしまう。誰でもできるけど、誰もがやっていない工夫をしなければならない。ほんの少し、目の付け所が違うだけで結果が大きく異なってくる。自分たちがどうしたいかをよく考えることが重要である。
  • つながりが希薄化しているということに、皆、実感がないのではないだろうか。この商品がどのような経緯で作られたのか、それを伝えていけるかどうかは、ハートに訴えかけるマーケティングといえる。そのためには、地域の自律が必要であり、結局のところ、自立と自律は両方が相互にモザイク状にかみ合っているものだと思う。
  • モノやサービスを売るだけがビジネスではなく、つながりやコミュニケーションについて紹介することも山村再生のポイントといえるだろう。
パネルディスカッション

その他


 3月5日(土)には、山村再生プラン関係者を対象とした研修会が開催されました。 当日は、「平成22年度 山村再生プラン取組実施主体」の中から、 愛媛県森林組合連合会、一般社団法人信州あなんトータルマーケティング、飯伊森林組合の3団体より事例発表をしていただきました。 なお、事例発表では、それぞれの取り組みの経緯や事業への想いについてご発表いただくとともに、 発表者と委員それぞれによるSWOT分析を用いた各事業の振り返りを通じて、山村ビジネスを行っていくうえでのポイントについて共有しました。

事例発表


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