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持続研通信 No.69 櫻号

東京オフィスの窓から


みなさま、こんにちは。アミタ持続研の島津です。
春ですね。 持続研・東京オフィスのある靖国通り沿いの桜は、今年も見事です。 普段と違う景色に、歩く速度も自然と緩みます。

さて、今回の持続研通信・櫻号は、南三陸でのシンポジウム開催のお知らせや、宮城県加美町で新しく始まった支援業務の取り組み、当帰の湯揉みのご報告などをお届けします。
どうぞご一読ください。

南三陸でシンポジウム開催


このたびアミタグループでは、南三陸町や環境省などと共に、宮城県南三陸町でシンポジウムと現地見学ツアーを開催します。 同町における革新的な取り組みや環境省「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトの紹介などを通じ、自然と人が共生するこれからの地域像について考えます。
地域振興やエネルギー循環に携わる自治体職員様に、きっとご満足いただけます。
ぜひご参加ください。

4/ 9(土) 13:30~17:30 シンポジウム
     18:00~20:00 交流会
4/10(日) 09:30~15:30 現地見学ツアー

詳細・お申し込みはこちら


宮城県「再生可能エネルギー等導入促進部門」優秀賞を受賞


アミタが南三陸町で運営するバイオガス施設「南三陸BIO」を中心とした包括的資源循環の取り組みが、平成27年度宮城県再生可能エネルギー等・省エネルギー大賞 再生可能エネルギー等導入促進部門の優秀賞を受賞しました。
今後は家庭系生ごみに加えて、同町内の店舗などから発生する事業系生ごみの分別収集や、本格的な液体肥料の散布をおこない、同町における資源・エネルギー・食などの包括的な資源循環のさらなる広がりに寄与していきます。

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宮城県加美町のバイオマス産業都市構想策定支援業務を受託


町内の関係施設を見学

このたびアミタ持続研は、宮城県加美郡加美町から「加美町バイオマス産業都市構想策定支援業務」の事業実施者に選定されました。
今後同町にて、地域概要調査、バイオマス利用調査、事業化プロジェクト提案、プロジェクト会議支援などの業務を実施し、バイオマス産業都市構想の策定を支援します。

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薬用植物・当帰(トウキ)の湯揉みを実施


持続研通信読者の皆様にはおなじみの当帰(トウキ)。
このたび、南三陸で生産委託をしている農業生産法人南三陸農工房と共に、当帰の湯揉みを実施しました。
湯揉みとは生薬を良質な製品に仕上げる上で重要な調製工程です。
当日は千葉大学環境健康フィールド科学センター、福島県立医科大学会津医療センターの先生方や、同じ地域でトウキを栽培しているのぞみ福祉作業所、地元の農業改良普及センターの方たちが全員で湯揉み作業をされました。

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南三陸町の公式ブログ「南三陸なう」でも話題になっています
河北新報オンラインニュースにもとり上げていただきました


アジア太平洋島嶼国向け研修にてパラオ共和国の取り組みを紹介


このたびアミタ持続研では、環境省と国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が共催した「アジア太平洋島嶼国における再生可能エネルギー導入支援研修」にて、パラオ共和国における包括的資源循環の取り組みを紹介しました。

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持続研の採用情報

アミタ持続研では、今、地方自治体や海外からの依頼が増えているため即戦力が必要です。
未来の子供たちが心豊かに暮らせる社会を創るため、貨幣的豊かさに代わる新たな価値を生み出し続け、次の時代を切り開いていく。そんな未来を私たちと一緒に創りませんか?

事業開発スタッフ(勤務地:東京オフィス)
技術開発スタッフ(勤務地:京都本社)

アミタグループからのお知らせ

< 会長熊野のそっ啄同時 「弱者なれども、勇者なり!」 >
 東日本大震災から5年が経ちます。
 もう5年なのか、まだ5年なのか。
 震災当初、被災地の人々は全員が弱さを見せました。全員が弱者でした。
 お互い様の気持ちで支えあっていました。
 続きはこちら

< 宮城県南三陸町のカキ養殖業、日本初となる「ASC養殖場認証」取得 >
 アミタは、3月29日付で水産養殖場の国際的認証制度「ASC養殖場認証」における日本初の認証機関に認定されました。また、アミタが昨年審査した宮城県漁業協同組合志津川支所戸倉海域のカキ養殖業に対し、日本初となる「ASC養殖場認証」を発行しました。
 詳細はこちら

< 台湾循環資源製造所の開所式 >
 アミタと、アミタの100%子会社である台湾阿米達は3月24日に台湾循環資源製造所(台湾彰化県)を開所しました。 今後、シリコンスラリー廃液などを100%リサイクルする事業を展開していきます。
 詳細はこちら

< アミタホールディングス 役員変更のお知らせ >
 このたびアミタホールディングスでは新役員を選任しました。
 詳細はこちら

< 2017年度新卒/第二新卒エントリー募集中 >
 アミタグループでは、2017年度の新卒・第2新卒のエントリーを受け付けています。
 詳細はこちら

< 森林認証(FSC(R)/PEFC)無料セミナーのご案内 >
 アミタでは、製品の差別化やブランドイメージの向上、また企業の社会的責任(CSR)への取り組みとして役立つ森林認証についてのセミナーを開催しております。
 詳細はこちら

スタッフ雑記「よみがえる“幻の米”農林21号の物語」


現地の農家の指導で「農林21号」の田植をする湖北小の児童たち

昨年の6月、石川県加賀市の湖北小学校で「お米づくり」の出前授業をしました。 5年生の児童らが秋にかけて校庭の小さな田んぼで行なう農業学習に先立って、「生きものと共に生きるお米づくり」の動機づけをするのが主な目的です。 でも今回の授業はそれだけでは済みません。子供たちには大役が待っているのです。

付近の小松基地から飛び立つF15戦闘機の轟音を聞きなれている児童たちにこう尋ねました。 「みんなは、“戦艦武蔵”を知っていますか?」
男の子の多くはすぐに手を挙げました。戦闘機の隼(はやぶさ)を知る子はいませんでしたが、“ゼロ戦”はよく知られていました。

戦後70年を迎えた昨年、太平洋の海底で静かに眠っていた巨大戦艦「武蔵」が見つかり、大きなニュースになりました。 「武蔵」が就航したのは昭和17年。同じ年には新鋭戦闘機の「隼(はやぶさ)」が量産を始めています。 いうまでもなく、時代は太平洋戦争の真っ只中。「大日本帝国」の領土が極大化したときでもありました。 そして、隆盛を極めた帝国海軍が壊滅的敗北を喫した「ミッドウェー海戦」も、この年のことです。


夏休みまえの草取り作業。みんな泥だらけになりました

そんな激動の昭和17年に農林省の北陸農業試験場で生まれたのが、今も食通から“幻の米”と語り伝えられている「農林21号」です(正式名称は水稲農林21号)。 コシヒカリとは異母兄弟にあたる品種ですが、農林21号の母系種は明治時代に京都で生まれ、とても美味しいことで知られた「旭」(あさひ)という品種。 血筋でいえばコシヒカリ以上の“食味のサラブレッド”とも言うべき品種でした。


事実、経済成長を果たして豊かになった日本の食卓で「ササニシキ」と「コシヒカリ」がおいしいお米の両横綱としてもてはやされていた時代にも、「一番旨い米は農林21号だ」と食通から支持され、高い評価を受け続けていたと言われます。首都圏のこだわり米穀店の経営者たちにも、農林21号の名は“レジェンド”として語り継がれているのです。

戦後の復興期には北陸地方や東北で広く栽培され、平和の中での発展を目指す食卓を支えてきた農林21号ですが、化学肥料や農薬を多用するようになった農業の近代化とともに「作りにくい品種」とされて次第に姿を消し、最後の生産地の福島県で細々と命脈をつなげていました。そう、あの「福島県」で。


収穫日の記念写真。農家の皆さんも誇らしげです

東日本大震災による福島原発事故は有史以来国内最大の環境汚染事故となりました。 原発事故の後、“幻の米”の命脈を求めて生産地を訪ねた私に、現地のJA職員が沈痛な面持ちでこう語りました。
「とても残念なことですが、農林21号は昨年で生産を終えてしまいました。」
文字通りの幻の米となってしまった農林21号ですが、幸い、つくば市の農業生物資源研究所に種籾が保存されていたので、ひと握りほどの種籾を分けていただきました。

「みんながこれから育てるお米は、そんな運命をたどってきたお米です。だから、どうか大切に育ててください。 北陸で生まれたこのお米がよみがえれば、生きものたちがたくさんいる昔の田んぼの姿を、石川県にとりもどすことができるかもしれません。 そして、いつかきっと、福島県でもよみがえらせることができると思います」

そして収穫の日を迎え、校庭には昔ながらの「はさがけ」が組まれました。 組み立ててくれたのは加賀市で展開される共生型農業ブランド米、「加賀のティール」を生産する「かが有機農法研究会」の農家さんたちです。 小学生たちが育てた農林21号の種籾は、翌年の(つまり今年の)本格的な生産向けの栽培に用いられます。


昔ながらの足踏み脱穀機を使って籾外しをしました

貴重な種籾と引き換えに、児童たちへのお礼として「加賀のティール」が農家から渡され、ささやかな収穫祭が行われました。 その席で農家たちに向けられた言葉が印象的です。
「いつか自分も、こんな格好いい大人になりたいと思いました。」
地域の子供たちから「こんな格好いい大人になりたい」と言われる農家のお米づくり。その新たなレジェンドが、この春から加賀市の田んぼを舞台に始まろうとしています。

(本多)