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持続研通信 No.60 秋桜号


みなさま、こんにちは。日ごとに秋めいてきましたね。持続研では8月にトウキの収穫、先日はササニシキの稲刈りを無事終えることができました。あとはみなさまの食卓に届くのを待つばかり。今年はどんなお味に仕上がっているでしょうか・・・。

今年のササニシキ

今年も「森里海のササニシキ」の収穫シーズンを迎えました。
…でも、今年の作柄はお世辞にも良いとは言えません。お盆が明けたころから「イモチ病」が急激に拡大してしまったのです。
イモチ病とは、カビの一種の菌が稲の葉や穂を侵食し、悪化すると実りを大幅に失わせてしまう恐ろしい病気です。今年の収穫量は、大幅な減収となってしまいました。
無農薬の有機農法は本来、イモチ病に抵抗力のある稲を育てやすいのですが、江戸時代から飢饉の歴史を重ねてきた三陸特有の気候に手痛い教訓を受けることになってしまいました。
「…このままでは終われねえな。来年は、正念場だ」
3年目のササニシキ栽培で大きな試練を受けた農家の言葉を重く受け止めざるをえません。

一方で、今年からの新しい取組として、より広く、多くの農地でササニシキを栽培していくために、これまで無農薬の有機農法だけで生産されていた「森里海のササニシキ」の特別な減農薬版もデビューします。
逆境の中でのデビューを迎えた新たな取組みの成果が、まもなく新米となって首都圏の米穀店で販売されます。
次号ではそのご案内もできると思いますので、ぜひご期待いただければと思います。

(本多)

バイオガス事業の進捗報告


←バイオガス施設建設予定地

持続研通信でも何度かご紹介していますが、南三陸町のバイオマス産業都市構想の具現化の1つとして、アミタ株式会社は2014年7月に宮城県南三陸町にて「バイオガス事業実施計画書」の実施を目的とする協定書を取り交わしました。その後の進捗をご報告します。
同年7月、公募を経てバイオガス施設を建設する事業者として三井造船環境エンジニアリング(株)を選定し、工事請負契約を締結いたしました。
同時並行で許認可の手続きも進めており、この9月からは町の環境対策課による生ごみ分別収集説明会も開催し、H27年中の事業開始へ向けて準備を着々と進めているところです。


(櫛田)


生ごみ分別説明会を開始

9月8日より、町の環境対策課による生ごみ分別収集説明会が開催されています。10月末まで平日の夜に毎日開催され、町内約80の集落を順番に回るという大変な仕事です。
しかしながら、このバイオガス事業がおもしろいのは町中の全員の方々を対象者として巻き込んでいくところにあると思っています。
町の担当の環境対策課の皆さんも意気込み高く頑張っておられ、官民連携の事業パートナーであるアミタの南三陸オフィスメンバーも日々同席させていただいており、生ごみ分別や液肥等に関するご意見・ご質問を頂戴しています。



(櫛田)


秋の液肥勉強会の開催


バイオガス事業の入口は生ごみの分別ですが、出口は液肥の利活用です。産業振興課が事務局となり、5月1日に液肥利活用推進協議会が発足しました。
持続研では、南三陸町から委託を受けて液肥の散布実証を行っていますが、9月29日に秋の液肥勉強会が開催され、今年度の液肥散布実証の中間報告(持続研が担当)と現地研修会が開催されました。

(櫛田)



「Meets Green 南三陸」ご報告


前号でもご案内しましたが、去る8月12~14日、南三陸町にてフィールドワーク合宿「Meets Green 南三陸」が開催されました。
南三陸・仙台・東京から、中高生とサポーター役の大学生、約20名が参加。南三陸町が掲げるバイオマス産業都市構想を中心に、ゲームやフィールドワークを通して、現在の課題や取り組み、そして森里海のつながりを学び、当事者意識をもって未来について考えました。

11月1~3日に第2回目の合宿が行われます。1回目の参加者から、もう一度参加したい!と言う声も聞こえているとか。
詳細はこちら(随時最新情報がアップされます)

8月の夏合宿の様子は、南三陸町公式ブログ【南三陸なう】にも掲載されています
Meets Green 南三陸~前編~
Meets Green 南三陸~後編~
Meets Green南三陸~プレゼンテーション・意見交換会~


(櫛田)


アミタグループで中途採用の募集を開始


東京で中途採用の募集を始めました。職種内容は法人営業と社内SEです。
アミタグループに合流(入社)希望の方、エントリーお待ちしております。
詳細はこちら

(碓井)


アミタグループ会長・熊野のそったく同時


アミタホールディングス株式会社の代表取締役会長兼社長である熊野英介のメッセージを、2ヶ月に1回、動画やテキストで掲載しています。
「桃李 道を作る」~ 人は語らず、事業が語る ~

(蝦名)

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(蝦名)

スタッフ雑記 「不作なのに米価が下落する理由」

秋風の中に早くもキンモクセイの香りが漂いはじめました。
稲作地域では農家が収穫作業の真っ最中で、稲穂の中を収穫用のコンバインや稲籾を積んだトラックが忙しそうに動き回っている姿が見られます。

でも、農家の顔は曇りがちです。理由は、異常気象による不作と米価の下落のダブルパンチです。とくに西日本では8月の日照不足と多雨が戦後最悪となり、日照時間は平年比48%に落ち込み、降水量は274%にもなりました。

「8月に穂が出た後、一番お陽さんが欲しい時にまったく晴れ間がなかったんや。」
滋賀県高島市で無農薬・無化学肥料の「たかしま生きものたんぼ米」を栽培する生産農家が残念そうに語ります。7月までは稲株の生育もよく、豊作が期待されただけに、その無念さが伝わります。

「選別機を通すと、まともな米はパラパラで、屑米がドーッと滝のように出てくる。お手上げや。」別の農家もあきらめ顔です。選別機というのは、籾を外した玄米を出荷できるお米と、売れないお米をより分ける機械のこと。より高品質なお米を出荷するため、多くの農家は選別の基準を厳しくしています。

ところが、毎年発表される作況指数の選別基準は、実際に市場に流通しているお米の選別基準より甘いのです。玄米をふるいにかけてお米の粒の大きさをそろえるグレーダーという選別機の網目は、現行の基準では1.7mm。しかし、市場に出回る銘柄品種の網目は1.9mm前後が中心です。だから、多くが屑米として選別される分までを含めて作況指数が発表されているのです。

今年の作況指数は全国平均で102ポイントの「やや良」。戦後最悪の日照不足と多雨に見舞われた西日本でも「平年並み」。これは1.7mm基準で予想されている数値ですが、実際に1.7mm台で選別されているお米は市場のわずか3%程度にすぎません。

米価相場に大きな影響を与える作況指数の基準が市場の基準とかけ離れていれば、実態に見合わない相場指標となって米価は下落します。
「去年は1俵12,000円だったコシヒカリが、今年は10,000円。こんなんじゃ米を作る農家がいなくなってしまうよ。」
農家の嘆きが全国から聞こえてきます。

「今年の相場は間違っているよ。そのうち高騰して米が足りなくなると思うね」
たかしま生きものたんぼ米を扱う首都圏の米穀店経営者が心配そうに語ります。



このような状況の中で生産者と流通業者と消費者ができることがあります。それは、産地と消費者を結び、相場変動に左右されない価値を構築することです。
「たかしま生きもの田んぼ米」や「森里海のササニシキ」など、持続研がプロデュースを支援してきたブランド米は、相場変動に左右されない「産地の物語」と「確かな品質」を糧に、市場からの共感で支えられています。

新米の時期、あきらめない農家の顔と田んぼの風景を思い浮かべながら、炊き立てのご飯を召し上がってください。


(本多)